企画の山口です。
入社してから大きく変わったことといえば、本当に意外なのですが、ゲームをする時間が減って替わりに本を読む時間が増えました。
ゲームに飽きてしまったわけではなく、昨夏のBit SummitとTGSに参加して、自分でゲームを作って世に出したいと本気で思ったのがきっかけです。
企画の仕事が回ってくるのを待っている場合ではなく、自主制作で今すぐにでもやりたい。
こういう時、一般的にはとにかく手を動かして実作をするのが最も大事だとよく言われます。私もそう思いますが、面白いゲームを作るには、それと並行して沢山勉強をしなければいけません。
その一環として、既に世に出ているゲームを遊んで分析するというのはよくあることではないでしょうか。
例えばSoraの桜井政博さんも動画内でそういうことを言っていますよね。
好きなゲームの面白さの解説は就活中も散々やってきましたが、個人的には今一上手くいきませんでした。プレイしてみれば面白いかどうかは誰でもわかるものですが、面白さに向かってゲームがどう組み立てられているのかを考えるとっかかりが見つからない。
何故でしょうか。それはゲームについて批評する言葉を持っていないからです。
ゲームを彩るもの、例えば美術や物語に関する批評の言葉は、映画や文学について書かれた本から学ぶことができます。
しかし、ゲームを支えている数理的な仕組みや、双方向に働くエンターテインメントとしての側面、またプレイヤー同士の関係や、ゲーム・プレイヤーと、それを内包する文化全体との関係について語る言葉は、ゲーム自体の研究の世界から学ぶ必要があります。
そのためにうってつけの本が、
『ルールズ・オブ・プレイ ――ゲームデザインの基礎 Rules of Play』(著 ケイティ・サレン&エリック・ジマーマン 訳 山本貴光 )です。
長らく絶版となっていたらしいですが、2019年に改訂の上で電子書籍として復活したもので、ビデオゲームに限らず、ゲーム全体について他分野の知見を積極的に取り入れながら多角的に考察した名著です。
原著が書かれたのは2004年ですが、19年経っても全く色褪せることが無く、むしろ新技術の導入によって表面的には目まぐるしく変化しているゲームの世界を探ってゆくための道標としてますます重要な本になっています。
さきほど私がやった、ゲームを
・数理的な仕組み
・プレイヤーとシステムの関係
・プレイヤー同士の関係
・プレイヤー或いはゲームそのものと文化との関係
に分けて考察する視点もこの本から学んだことの一つです。
書籍から学ぶことの有用性の例になっているでしょうか。
弊社の本棚に上巻のみ所蔵されていたのがきっかけでこの本に出会うことができました。
こういうのもゲームの会社に所属することの大きなアドバンテージですね。