こんにちは。デザイナーの清水です。
今年度の新人さんたちが入ってきて1ヶ月が経ちました。そろそろこの新人日記リレーもバトンタッチするかもしれません。
徐々に夏の空気を感じるようになってきましたね。私は今週から半袖に切り替えました。
では今回のテーマ、「入社して変化したこと」についてお話しします。
一番実感しているのはものの考え方の変化ですね。以前と比べてプラグマティックな考え方になったと思います。
大学時代はコンセプチュアルアート寄りなこと(コンセプトアートとは異なります。いわゆる現代アートです)をやっていたこともあり、抽象的なことや哲学的なことを考えることが多かったのですが、仕事として具体的な画作りを行っていくにあたり、見栄えのことや、作成コスト/処理コストとのトレードオフのことなど、より具体的な部分に思考が移っていきました。
とはいえコンセプトについて考える習慣も無駄にはなっていないと感じます。
見栄えを考えるときにもコンセプトというのは重要で、結局その画作りにおける最終目標は何なのかというのを意識しておくことで、作成にあたっての評価基準や優先順位がはっきりします。
この場合のコンセプトというのは、ゲームにおいては「プレイヤーの方々にどのような面白さをお届けしたいのか」といった部分でしょうね。私はゲームロジックではなくグラフィックが主な担当ですが、グラフィックもそのゲームが達成したい面白さに寄与していなければなりません。
私は今のところ管理側にはほとんど回っていませんが、大規模開発においてはそういったビジョンを共有するのがとても重要なのだろうと思ったりします。そうでないと、何をもって良い出来とするかが定まらないですからね。
最近時々Steamなどでインディーゲームをいくつか買ってちょこちょこプレイするというのをやっているのですが、規模が小さいからこその強みを感じます。面白さや魅力の軸がはっきりしていて、そこに向けて全員が一体となって仕事をしているのだということが、完成したゲームから伝わってきます。いろいろな面白さを贅沢に盛り込むというのは難しいですが、ああいった無駄なく完結している感じが、個人的には結構好きです。癖のあるものが多いのもよいところですね。
学生時代はコンセプト自体の面白さがあれば表現が稚拙でもわりと許されていましたが、優れたコンセプトを達成するためには優れた表現がなければなりません。
製品クオリティのものを作成する経験の中で、仕上げることの難しさを感じています。
知恵で勝負して技量での勝負を回避するような学生時代でしたが、そろそろ技術的な部分としっかり向き合わなければいけないですね。私は2Dイラストにおいても癖のある絵柄で、上手い下手レースをいい具合に回避しつつやっていたのですが、そこに関しても改めて基礎固めしたいところです。現状イラストは仕事では描いていませんが、体作りみたいなものですね。やはり大事です。
思考だけが独り歩きしていたような状態から、仕事としての制作を経て、地に足が着いたような思いがします。
余談ですが、最近『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』をプレイしています。
以前よりも「意味ありげ感」みたいなものに敏感になっていて、コログを見つけるのが楽になりました。日頃、何もないところに目を引く意匠を入れないように心がけているので、目を引くということはなにかあるだろう、という感じですね。これもある意味、入社して変化したことかもしれません。
前作からそうですが、このゲームはオープンワールドの面白さの模範解答という感じがします。辺りを見渡して、何かありそうと思ったところに向かったらちゃんと何かある、というのが、いい感じにご褒美になっていて嬉しいんですよね。この作品のすごいところは、何も気になるものが見当たらない場所というのがほとんどないことです。ぐるっと一周眺めれば必ず何かしら気になるものがある。だからやめ時がわからなくなるんですよね……、あの祠を攻略したらやめようと思って外に出ると、また気になるものが目に入る……。
そうなると唯一「そろそろいいか」となるのは移動中くらいしかないわけですが、大抵目的地の間にいい感じに敵が配置されていて、それを倒して気晴らしをしているうちにモチベーションが復活しているという、恐ろしい作りになっています。全てにおいてハイクオリティですが、天才的なレベルデザインですね。